社長の言葉

私の尊敬する方の中に、とても博識な飲食店の社長がいます。
昭和52年にはアタック25というクイズ番組の東京代表として選ばれたほど、
本当にたくさんの事を今でもご存知でいらっしゃる。

そんな社長に日本橋の歴史について伺っていた時のこと。

何気なく、本当に何でもご存知ですよね、と問いかけると、
こんな言葉が返って来た。

「でもね、クイズはもうやめたんですよ。」と。

「物事は知っているだけじゃダメなんだよね。その物事の中身を体験したり経験したりする事の方が大切なんです。」と仰った。
「だからね、僕はその事を知って、もうクイズはやめたの。」

社長は終始朗らかな笑顔で続けてくれる。

「ただ知っている事っていうのはね、誰かがこうだと言うとそれに反応して、でも僕はもっと知っていますよ、と知識を言うじゃないですか。でもね、本当に知っているというのは、誰かがこうだと言ったら、そうかもしれない、違うかもしれないと、それ以上の知識じゃなく気持ちを通い合わせることが出来るもの、なんだよね。」

と仰った。

「そしてね、通い合わせた結果何か言葉にするでしょう。
人っていうのは、たくさんのとらえ方をしますから、こちらが通わせたと思っても違う風に思われることもあると思うんです。
だから、こんな風に言って良かったのか、今の伝え方はその人に合っていたのか、もっと違う何かを考えていたんじゃないか、そう思う事の方が当然でね、その気持ちを良心と言うんだよ。」と。

「その、良心がないと、至高の世界にはいけないの。」

社長のその朗らかな笑顔は1ミリも崩れることなく、それでいて最高のとびきりの笑顔だった。

そして、最後にこう締めくくってくれた。

「無知の知って知ってる?謙虚で、美しいものを美しいと言える事。そして人より少し好奇心が強いだけなの。
あなたの夢を応援しています。人はね、小さくてもいいから、いつも夢を持ってなくちゃいけないよ。」

 

橘すしのお寿司は本当に美味しい。社長が仕入れてくるお魚がいつも変わりなく美味しいのも、なぜなのか本当によく分かった。

昨日、橘すしの最後の出勤でした。
最後の最後まで、心に残る素敵なプレゼントをいただき、本当に感謝しています。