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前回読んだ本から少し時間が空いてしまいました。
何を読もうかなと悩んだときいつも手を伸ばすのが、
夏目漱石の本です。

今回の「それから」という本。

一人の男性の愛の価値を通して、
人間は「自然」であるべきではないかと呼びかける。
あるがままの自己を選び、そして選択の基準は自然にある、と。

自然と共存して文明を栄えさせてきた東洋。
誰かに仕え、在るものをそのまま受け入れ集団で生きた時代に、
現象と対峙して自分で勝ち取るという西洋の流れが入ってきたころ、
漱石達の生きた時代には、
集団から切り離れ、個人での幸福とは何かを追い求めるようになったのかもしれない。

そして、
それでいて集団は、個として現象に打ち勝つことも、個として自然になることもできず、
東洋と西洋の文化が行き交う中で、
ただその時代の流れに乗って生きる事が正しいと思うほかなかったのかもしれない。

そんな中、この夏目漱石という人は、
時代の変化をことこまかに敏感に感じ取れる神経が、自分の意思とは反して研ぎ澄まされて、
本当の幸せとは何なのかと、考え続けていたのかなと思う。

今私たちが豊かな文明の中で、様々なことに悩みながらも歩を進めていることも、
おのずからそうであるという意味での自然な自己の在り方を、
遥か昔から考え抜いてくれていたことと、大いに関係があるように思えてならない。

だから、何を読んでいいか分からないなと思うとき、
夏目漱石という人に戻ってしまうのかもしれません。